記憶装置

その他(技術)

【記憶装置の説明・種類】

記憶装置:コンピュータの一構成要素で一般的な情報や指示情報を保存する装置です。
■主記憶装置:CPUと直接データのやり取りが行われるものでメモリにあたります。
●不揮発性メモリ:読み込み専用のROM (ロム)。 ROMは電源オフでも記録は消えません。電源を供給しなくてもデータを保持できるメモリです。
□代表的なものはフラッシュメモリです。1987年に東芝によって開発されました。フラッシュメモリにデータを保存する場合、記録する最小単位はセルと呼ばれます。
○NAND型フラッシュメモリ:高集積化に向いており、書き込みが相対的に高速になります。アクセスはブロック単位で、ランダムアクセスは低速である特徴を持ちます。NAND型フラッシュメモリはメモリセルを高密度に配置できるメリットを持っていますが、ビットエラーが発生しうるデメリットがあります。そのため、誤り訂正符号 (ECC: Error-Correction Code) 回路を搭載する必要があります。誤り訂正符号とは、データの読み出し・書き込み時に付与される値です。読み出したデータが本当にフラッシュメモリに書き込まれた値かを誤り訂正符号の一致で確認します。NAND型フラッシュメモリのセルは半導体上にトンネル参加絶縁膜とフローティングゲートが搭載した構造となっています。データ保存の方法として、データはフローティングゲートに電子を蓄えたり放出したりすることで、データを保存します。データを書き込んだり消したりする際に、電子がトンネル酸化膜を突き破り移動するため、トンネル酸化膜が劣化します。このトンネル酸化膜が劣化してくると正しくデータを記憶できずに寿命を迎えます。個々のセルの寿命の目安としては、書き込みと消去の回数が1000~10000回程度と言われています。NAND型フラッシュメモリには情報を記憶する単位であるセルの特徴で以下の種類に分類されます。
◇SLC NAND(シングルレベルセルナンド):セル当たりに1ビットの情報を保存することができるNAND型フラッシュメモリです。耐久性が高い特徴を持つ一方で容量が少ないデメリットがあります。
◇MLC NAND(マルチレベルセルナンド):セル当たりに2ビットの情報が保存できるNAND型フラッシュメモリです。安価ではありますが、読み出しや書き込みの速度や耐久性はSLC NANDと比較して劣るデメリットがあります。
○NOR型フラッシュメモリ:集積度が低くなりますがバイト単位でのアクセスが可能です。書き込みは遅いですがランダムアクセスは高速であるという特徴を持ちます。
□主なメディアはUSBメモリ、SDメモリ、SSDメモリがあります。
□その他のROMには以下のような種類があります。
○マスクROM:書き込まれている内容が変更できない。
○PROM:一度だけ書き込みができる。
○EPROM:紫外線照射によって記憶内容を消去可能で再書き込みが可能である。
○EEPROM:高い電圧を印加することで記憶内容を消去可能で再書込みが可能である。
●揮発性メモリ:読み書き用のRAM (ラム) 。RAMは電源オフで記録が消えてしまいます。揮発性メモリにて記憶を保持するためには、常時、または一定時間ごとに電源を供給する必要があります。
□DRAM (英: Dynamic RAM)
□SRAM (英: Static RAM)
■補助記憶装置:CPUとは間接的にデータの交換がなされる装置であり例えばハードディスク (HDD) がそれに相当します。

【記憶装置のアクセス方式】

■ランダムアクセス:デジタル式のもので任意の位置にアクセス可能です。
■シーケンシャルアクセス:磁気テープのようにアクセスする場所へ順を追っていく方法です。

【記憶装置の媒体の分類】

■半導体:
●SSD:Solid State Drive(ソリッドステートドライブ)の略で、内蔵してある半導体素子メモリ(フラッシュメモリ)によってデータの読み書きを行う記憶装置です。HDDと同様にデータを保存するものですが、物理的に駆動する部品はありません。大容量のデータを保存する媒体としては長年HDDが使われてきましたが、近年はSSDの大容量化が進んでいて、使われることも増えています。読み書きに磁気ヘッドの移動動作を必要としないため、ランダムな高速処理ができます。また、ディスク回転のための駆動機構を持たないので軽量、静音で消費電力も低いという利点があります。こういった理由から、携帯機器と相性が良いSSDですが、容量あたりの価格ではSSDの方が高い・HDDに比べて書き換え可能回数が少なく、データ保持期間が短いといった弱点もあるため、完全にHDDに取って代わるようなものではありません。
●USBメモリ:(英: USB flash drive)USB(ユニバーサル・シリアル・バス(英: Universal Serial Bus、略称:USB、ユーエスビー))端子がついていてUSBポートに接続することで、データの読み書きが行え、持ち運びが便利な外部ストレージです。記憶媒体にSSDなどと同じくフラッシュメモリを使用しており、データの読み書きが高速である点が特徴です。現在ではほとんどのパソコンがUSBメモリを挿し込むだけで自動的に認識してくれるため、設定を行う必要もなく、誰でも簡単に使用することができます。USB Type-Aを備えているモデルが一般的ですが、スマートフォンなどに使用されるUSB Type-BやUSB Type-Cなど、形状の異なる端子に対応するモデルも販売されています。
●SDメモリ:SD(かつてはSecure Digitalの略称であると説明していた)規格によるフラッシュメモリで、カードタイプの記憶装置です。デジカメやノートパソコン、スマートフォン、携帯ゲーム機など多くの電子機器で使用されています。カードタイプの記憶装置はマルチメディアカードやメモリスティックなど、かつては各社で異なるメモリカード規格が多く存在しましたが、現在ではSD規格によるものが主流です。SDメモリカードはサイズに応じてSD、mini(ミニ)SD、micro(マイクロ)SDの3種類の形状があります。また、容量とデータ転送スピードに応じてSD、SDHC、SDXCメモリカードの3種類があり、それぞれ用途により使い分けます。
■磁気:
●HDD:Hard Disk Drive(ハードディスクドライブ)の略で、データやプログラムなどを電磁的に書き込んだり読み出したりする記憶装置(ストレージ)です。HDDの中には、プラッタと呼ばれる磁性体が塗られた円盤(磁気ディスク)が複数枚入っています。高速回転するプラッタに磁気ヘッドと呼ばれる部品を近づけ、データの書き込み・読み出しを行うというのが、HDDでデータを保存する仕組みです。データを保存できる容量の大きいものが多く、従来は広く使われていました。
●FDD:Floppy Disk Drive(フロッピーディスクドライブ)フロッピーディスクの読み書きができる装置です。パソコンに搭載されているCDやDVDのディスクドライブのフロッピー版と考えるとイメージしやすいでしょう。1990年代まで、Windows95あたりまではFDDがよく活用されていましたが、CDやDVDに変化し、FDDが標準搭載されることはほとんどなくなりました。なお、FDDを内蔵しないパソコンが増えたことによって、FDDを使用したい場合は、外付けのFDDが必要です。FDDが読み取るフロッピーディスクには、8インチのもの、5.25インチのもの、3.5インチのものがあります。8インチのフロッピーディスクは初期段階のもの。IBMによって、1970年に開発されました。初期の容量は80KB。翌々年の1972年には400KBのデータが保存できる8インチフロッピーディスクが登場します。当時は最先端の技術ではあったものの、コンピュータの小型化も進む中で、8インチでは大きすぎるという声もあり、より小さいフロッピーディスクの登場が要求されます。そこで開発されたのが、1976年の5.25インチのフロッピーディスクです。この5.25インチのフロッピーディスクの開発によって、パソコンへのFDD内蔵も実現しています。さらに、5.25インチになってから、片面倍密度が両面倍密度へ、さらに両面高密度という進化を遂げます。ただし、前身の8インチのものと比較すると変形しやすく磁気に弱い耐久性への問題が指摘されていたのも事実です。そして1980年にソニーの開発によって登場してから長い間フロッピーディスクの標準となっているのが、3.5インチのフロッピーディスクです。5.25インチの耐久性の問題を解決するために、プラスチックのケースが用いられました。そのため、直接ではなくディスクを間接的に抑える構造へ、未使用時はシャッターを閉じる構造にしたことで、異物混入を防ぐことにも成功しています。のちに3.5インチのフロッピーディスクは世界的なヒットを果たし、最盛期である1995年のディスクの売上枚数は世界年間45億枚にものぼりました。CD-ROMやCDドライブの普及にともない人気は落ちていったフロッピーディスクですが、2017年現在でも一部生産は行われています。現在主流となっているフロッピーディスクは3.5インチですが、実はこのなかにも「2DD」と「2HD」とよばれる2つの種類が存在します。これらは記憶容量の違いによって分類されるのですが、フロッピーディスクのメディア自体に記録できる密度が異なるため、容量も変わってきます。まず、2DDの場合は最大720KB、2HDは最大1.44MBのデータが記録できます。ただし、フロッピーディスクの場合は、フォーマット形式によって読み書きできるデバイスが変わってきます。フロッピーディスクには「DOS/V用」、「PC-98用」、「Macintosh用」などのフォーマット形式があり、たとえばDOS/V用としてフォーマットしたフロッピーディスクは、Macintoshで読み書きすることはできません。すなわち、OSやFDDごとにフロッピーディスクを初期化する必要があったのです。ただし、フロッピーディスクはフォーマットをし直すことが可能なため、たとえばDOS/V規格のパソコンからMacintoshへ買い替えた場合、フロッピーディスクもMacintosh用へフォーマットし直すことでメディア自体は使用し続けることができました。ただし、フォーマットとは初期化をしてまっさらな状態に直すということなので、当然のことながら保存していたデータは全て消えてしまいます。
●磁気テープ
■光学:読み取り専用のROMタイプ、一度限り書き込みができるRタイプと何度でも書き換えができるRWタイプがあります。DVDは直径12cm、厚さ1.2mm とCDと同じ大きさですが、CDは記録できる容量が最大で700MBであるのに対し、DVDは 4.7GB(片面 1層記録の場合)と、CDのおよそ7倍の容量を記録することができます。
●CD:Compact Disc(コンパクトディスク)。デジタル化した音楽・画像・文字などの情報を記録する(大容量)ディスク。
●DVD:Digital Versatile Disc(デジタルヴァーサタイルディスク)。デジタル化したデータの記録媒体である光ディスクの一種。CDと同じ直径12cmで、映像・音声情報などを大量に記録できる。
●BD:Blu-ray Disc(ブルーレイディスク)とは、DVDの後継となるよう開発された光ディスクを指す規格の名称です。ブルーレイディスクの規格の策定は、2002年に行われました。ブルーレイディスクの録画・再生を行える機器のほとんどが、前世代ディスクであるDVDと互換できます。なお、ブルーレイディスクはDVDと比較して、データの記憶容量が約5倍と大きいことが特長です。国内テレビ放送の地上デジタル化やハイビジョン放送の普及などで、1番組あたりのデータ量が増加したことに伴い、ブルーレイディスクやブルーレイディスク対応の録画機器が急速に普及しました。家庭用ゲーム機にも、より高精細な画質や高音質が求められるようになり、2000年代半ばごろからは、DVDメディアに代わってBDメディアが採用されています。ちなみに「ブルーレイ」という名称は、青紫色の光でデータを読み取ることから名づけられました。しかし「ブルー」をそのまま「Blue」とつづってしまうと、一般的な青色光と混同されてしまいます。そのため「Blu-ray」とつづりを変えて、商標化されました。

【FAQ】

Q.SSDは主記憶装置ですか?補助記憶装置ですか?
A.補助記憶装置です。補助記憶装置にはHDD、SSD、光学式ドライブ、USBメモリなどがあります。
補足:HDDは回転する円盤に磁気でデータを読み書きしていますが、SSDはUSBメモリーと同じように内蔵しているメモリーチップにデータの読み書きをしています。