座頭市

映画鑑賞

「もはや、敵なし。」

まだ斬ってないヤツがいる   闇に光る朱塗りの杖。
一瞬の静けさの後、立っているのは、その盲目の男のみ──。

◎内容◎
 その日、三組の旅人が同じ宿場町に入った。
 まずひとりは金髪頭に朱塗りの杖を持った盲目の居合いの達人・座頭市。街道筋でヤクザたちにからまれるが、一瞬にし
て三人を切り捨てる。
 二組目は服部源之助と妻おしの。浪人の身だが腕は立つ服部は、殿様の師範代の身分を訳あって捨ててきた男。病気
のおしののために用心棒の働き口を探していた。
 そして三組目は、旅芸者のおきぬ、おせい姉妹。彼女たちの三味線には仕掛けがあった。糸がはずれて、人の首を絞め
られるようになっているのだ。
 宿場町を仕切っているのはヤクザの銀蔵一家と、金持ち商人・扇屋。銀蔵一家の賭場に入った市は、そこで知り合った
遊び人、新吉と荒稼ぎをする。新吉は、市が助けたきっかけで、その家に厄介になっている野菜売りのおうめの甥だった。
 その頃、浪人・服部は飲み屋「的屋」で飲んでいた。的屋の親父に金を要求しにきたヤクザに剣の腕を見せつけ、用心棒
となる服部。同じ店で、服部と市は初めて出会う。

「お前、ただのあんまじゃねぇだろ」
「あんたも、血の匂いがするぜ」

 ──とんでもなく腕が立つ二人は、その抜きん出た強さゆえに、やがて命をかけて対決せざるをえない宿命にあった。
 ひょんなことからおきぬ・おせいの姉妹と知り合った市は、おせいが実は男だと見抜く。二人は親の仇を探すために、旅
芸者に身をやつしているのだった。銀蔵一家の用心棒となった服部。銀蔵とつるんでいる扇屋を仇の一人と踏んで近づく
おきぬとおせい。
 銀蔵一家が仕切る賭場で大立ち回りを演じた市──同じ日にこの町にやってきた、訳ありの三者の運命の糸はやがて
絡み合う。
 銀蔵一家、そして服部との壮絶な戦いに挑む座頭市。
 問答無用の戦いが幕を開けようとしていた・・・!

Amazonより
勝新太郎主演で知られる名作時代劇に、世界に冠する北野武監督が挑んだ話題作。今回、北野武=ビートたけしが演じる盲目のあんま、座頭市は、なんと金髪。しかも仕込み杖は朱塗りというところがしゃれている。内容の方は、凄腕の人斬り服部源之助(浅野忠信)とおしの(夏川結衣)夫婦や、遊び人の新吉(ガダルカナルタカ)、そして美しい旅芸人姉妹などと市が出会い絡み合っていくというもので、注目の期待の殺陣シーンは十分合格点だが、特に浅野忠信の殺陣が実にお見事であった。
総体的に、勝新太郎版をさほど彷彿させず、むしろコントもあれば歌も踊りもあるといった往年の娯楽時代劇を多分に意識した作りになっているのが成功のポイントだが、結果として時代劇と呼ぶよりも、むしろソード・アクション・エンタテインメントとでもいった雰囲気を醸し出しているのが、今の時代ならではというべきか。(的田也寸志)

レビュー
プロデューサー: 森昌行/齋藤恒久 コープロデューサー: 眞田正典/吉田多喜男 ラインプロデューサー: 小宮慎二 監督・脚本・編集: 北野武 原作: 子母沢寛 撮影: 柳島克己 照明: 高屋齋 美術: 磯田典宏 衣裳監修: 山本耀司 衣裳: 黒澤和子 録音: 堀内戦治 助監督: 松川嵩史 編集: 太田義則 記録: 荘原はる 企画: 齋藤智恵子 製作担当: 森賢正 キャスティング: 吉川威史 音楽: 鈴木慶一 出演: ビートたけし/浅野忠信/大楠道代/夏川結衣/ガダルカナル・タカ/橘大五郎/大家由祐子/岸部一徳/石倉三郎/柄本明
— 内容(「CDジャーナル」データベースより)